美容医療について
美容医療には、美容外科手術以外に美容皮膚科や美容内科といった非常に範囲の広い分野が含まれます。昔エンゲル係数を心配していた時代には、考え難いことですが、美味しいものをカロリーを抑えながら食べ、快適に且つ勤め先に近い所に住み、有名デザイナーの洋服を着る様になると、次に自分自身の問題に目が向けられる様になるのは必然的なものなのでしょう。
美容医療は年齢的にその希望する所が少しづつ違ってきます。おおまかに言って30才位迄は、目、鼻、輪郭等を気にし、45歳位までは細かな皺や弛みが気になり、その後はシミや深い皺や弛みが気になるようです。美容医療、その中の美容外科は外科医療の中でも特殊な診療科であり、他人に知られずこっそり手術を受け、他人に「きれいになったね」、と言ってほしいという矛盾を抱えております。
- 美容外科は「密室性」
この内緒にという密室性のため、今迄は広告に惑わされ、広告に釣られ、広告の為に手術後の不安を煽られる、と言う問題が起きていましたし、現在でも起きております。
言う迄もなく、広告を出すにはお金が掛かります。当然広告費を取り戻さねばなりませんし広告の効率も考えます。その為良い事しか書かない、嘘と思える事でも平気で書く、結果それを信じて手術した人は、書かれている事との違いに不安になる。広告が膨大であればある程、手術前の説明に十分な時間を取っていたら経営できない。やたらに分院を増やしてチェーン店展開をする事により広告の効率化を計る。医者を集めなければならず未経験医や卒業したての医者を使う。説明した医者と手術する医者が違う。等々医療からどんどん懸け離れていきます。
ところが最近になって、インターネットの発達と共に、オンライン上での情報が飛び交い、良くも悪くも所謂「口コミ」が出てきました。自分の名前を知らせずに、悩み相談出来る点が美容外科の密室性と非常にマッチしたのでしょう。
美容外科の情報は今迄は広告だけでしたが、当公益社団法人日本美容医療協会がインターネットのオンライン上に正しい情報をのせ、且つ医療相談にも応じるように致しました。それにより広告ではなく、誰でも正しい情報を得られる事ができるようになりました。その上「口コミ」が出てきた事により、医者は次第に患者本位の医療をしていかざるを得なくなってきています。
(正しい情報を一般の人が知ると言う事は、逆にその情報から御自分で選択し決定していかなくてはならないと言う、受ける側の判断力と責任が問われることになります。今迄のように「お任せ」ではすまなくなります。)
- 美容外科は患者が手術希望
普通患者さんは嫌々ながら手術をしますが、美容外科に限っては、患者さんが自分から「手術したい」と言って来られます。ですから、これを手術するのは簡単な事です。「痛くないですよ」「あまり腫れませんよ」「きれいになりますよ」と言えばよいのですから。
それだけに(医者のモラル)が一番求められる診療科といえます。さらに、手術についての知識と技術は当たり前ですが、患者の求めに対し種々のアドバイスや指針を示す事が出来るだけの社会的、文化的、等々の医学以外の人としての広い知識と見識が必要とされます。
- 美容外科医の目指すもの
美容外科医は美人を作ろうとしているのでしょうか?一体美人とは何んなのでしょうか?私が考える美人、貴方が考える美人、患者が考える美人、それぞれ美人の条件は異なるのではないですか。美容外科医は決して美人を作ろうとしているのではありません。どうしたら悩みから解放され、自信を持って生きていけるようになるか、お手伝いしようとしているのです。
ですからカウンセリングは十分に取り、患者さんの希望が何処にあるのか、手術によりその希望がかなえられそうか、その手術による合併症・後遺症は何か、その副作用で将来悩まないか、等々医者は出来るだけ客観的立場に立って患者さんと話し合います。そしてその悩みが、単に患者さんの思い込みなのか、手術しなくても目的を達するのか、手術したら反って良くならないと思えた場合、手術せずアドバイスのみとなります。多くの場合十分な時間をかけて自分自身が他人からどう見えているかを種々の方法を用いて客観的に説明し納得してもらいます。
- 手術後、後悔しない為に
患者さんの悩みが客観的に納得出来、手術で解決出来そうであれば手術となります。手術結果が患者さんの希望にどの程度近付けるか説明し、手術により起こり得るマイナス点も説明していきます。いわゆるインフォームドコンセントをしっかり行います。
美容医療は悩みを解決し前向きに人生を生きていってほしいと言う事を目的にしております。ですから、悩みを解決しようとするので単に手術すれば済むと言うものではありません。医者はカウンセリングに十分な時間を掛け、悩みの本質を見つけそれに対処するのですから、患者さんも正確な情報を得、手術に直ぐ飛びつくのではなく、医者との十分な話し合いを持つ事が失敗を防ぐ最大の防御法であろうと思います。
自分の人生です。後悔しないよう、夢だけを追わず、マイナス面も知った上で美容医療を上手に御利用下さい。当公益社団法人日本美容医療協会は、患者さんの生活の向上にお役に立てるよう、今後とも皆様と歩んでゆく所存です。