美容医療広告について—最近の動き—
2012年05月01日
西山真一郎:西山美容外科院長、日本美容医療協会広告のあり方委員会委員長
谷野隆三郎:東海大学医学部外科学系形成外科教授、日本美容医療協会広告のあり方委員会副委員長
はじめに
美容医療に関わる医療法違反広告は以前から眼に余るものがあり、平成6年、当協会において「美容医療に関わる広告、記事等における自主規制コード」を作成し、これが厚生省(当時)を通して全国の都道府県に周知された。しかしこれはあくまでも自主規制コードであり罰則もないため、一時的に沈静化したものの美容医療における医療法違反広告は以前にも増してエスカレートし、これに伴って患者の被害も増加した。
平成19年4月、医療広告に関わる医療法が大幅に改正され、同時に「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関して広告し得る事項等及び広告適正化のための指導等に関する指針(通称、医療広告ガイドライン)」が、各都道府県知事に通知された。このガイドラインは自主規制ではなく法的規制の範囲内であり、違反すれば罰則の対象となる。
改正の要旨は、以下の3点である。1)医療広告の定義が明確にされた。2)表示可能な文言が拡大された。3)違反広告に対する罰則が明確にされた。
医療広告に表示できる文言については従来と同じくポジティブリスト方式で表示できる表現を規定しており、従ってこれら以外は全て表示不可となる。今回の改正ではこのポジティブリストがかなり具体的に提示された。更に具体的な文言における表示の可否について、日本美容医療協会は厚生労働省医政局総務課の担当専門官と約1年に渡り協議を重ねてきた。医療法第6条(以前の第68条)と医療広告ガイドラインおよび厚生労働省との協議内容については、日本美容外科学会誌に掲載された特別寄稿、日本美容外科学会報および日本美容医療協会のホームページに掲載されている。
最近になって、平成23年10月25日には内閣府消費者委員会より、平成23年11月22日には厚労省医政局総務課と、立て続きに日本美容医療協会に対して面会の申し出があった。前者は美容医療広告全般に対する意見交換、後者は主にインターネットにおける特にホームページ(以下、HP)に対する意見交換であった。以下に、両者との意見交換の内容について記載する。
1、美容医療広告に関する意見交換:内閣府 消費者委員会
日時:平成23年10月25日、於:日本美容医療協会
出席者:
細川幸一(日本女子大教授):内閣府消費者委員会委員
坂梨良久:内閣府参事官補佐、
遠藤信一郎、松田有美子:内閣府事務局
日本美容医療協会 広告のあり方委員会:委員長 西山真一郎、副委員長 谷野隆三郎
細川委員からの各質問に対し、下記のような説明を行った。
1) 日本美容医療協会「広告のあり方委員会」の設置の経緯・運用状況について
協会設立理由と広告の問題や違法広告に対し、日本雑誌広告協会等各関連機関との話し合いや自主規制コードの作成(平成6年12月)等について説明。平成19年の一部医療法改正に伴い広告内容等、厚労省医政局総務課の担当者(飯村専門官)とポジティブリストの拡大等について詳細な打ち合わせを行い、その結果を2つある日本美容外科学の学会誌に載せ、その後も担当者の変更に伴い継続協議し、ガイドラインの周知等について要望した。フリーペーパーにおける違法広告について福岡県と沖縄県の出版元に要望書を出し改善を求めるも、担当官の温度差が大きく、福岡県においては保健所を通じて多少の改善を見たが、沖縄県のフリーペーパーには全く改善が見られなかった。今後、東京のフリーペーパーに対しても要望書を提出する予定である。
2) 美容医療広告の現状の法規制・課題について
法規制(ガイドライン含む医療法や景品表示法など)の実効性には、大いに疑問がある。厚労省や消費者庁はこれらの違法広告の取締りに対してもっと積極的に動いて欲しいと要望。また医療広告は患者の健康被害をもたらす可能性も含んでおり、HPも含めて患者の目線で正しい情報を流すことは医師としての義務であり、一方で厚労省は法律を作った以上、もう少し真摯に対応してもらいたいと要望。厚労省による指導の徹底。県や保健所に対して広告規制を徹底し、担当者による温度差が無いようにする。それには仕組みを作る必要がある。例えば協会が出版社、都道府県(保険所)、広告主などに要望書を出しても改善が見られない場合は、厚労省や県を通して保健所から厳しく指導をしてもらう。最終的には行政処分を(罰金や業務停止など)を課すしか効果が見られない。特にフリーペーパーや折り込みに対する指導の徹底。フリーペーパーについてはいくつかの団体があるようだが、調べた範囲では日本雑誌広告協会や日本新聞協会のような広告規制を推進している団体は見られなかった。今後も厚労省医政局総務課や消費者庁、消費者センターなどと情報交換や協議を継続し、適正な表示のポジティブリストの拡大に努めていく予定である。
3) 医療機関(美容医療)のHPにおける情報提供のあり方について
現在の医療法ではHPは広告と見なされておらず全く規制が及んでいないが、少なくとも自由診療部門(美容医療、包茎(実際には保険適応である)、審美歯科、矯正歯科、歯科のインプラントなど)に関しては、何らかの対応が必要である。またバナー広告やスポンサーサイトなどのSEOは、医療広告ガイドラインによると医療法の規制下にあるとされているが、未だに違法広告が多くこれらは取り締まりの対象にできるはずである。HPの内容にも虚偽や過大表現、手術前後の写真等により患者を誤誘導する目に余るものがあるので何らかの対策が必要である。これを請け負う業者(WEB制作会社)にも問題があり、週刊誌における出版社のようにここに法規制の網をかける必要がある。
HPにはコスト、治療法、資格(肩書き)などに、かなりいい加減な記載が多い。HPや広告には安いコストを表示し、受診してから(場合によっては手術台に乗ってから)色々な施術を追加して(トッピングと呼ばれている)法外なコストを請求するといった悪徳行為は未だに行われており、患者からのクレームが協会に入っている。
通常は当たり前に何処のクリニックでも行われている治療法に、スーパーやウルトラなどさまざまな接頭語や修飾語を付けて、あるいは全く異なった治療名称をつけて、あたかもクリニック独自の優れた治療法を行っているがごとき表示を行い、患者を誘導する例が多く見られる。また勝手に個人的な学会や協会を立ち上げて(日本美容指導協会、金の糸アンチエンジング協会など)、会長や理事長を名乗る医師もある。————専門医(厚労省が認めていないもの)、————認定医等も同じである。
またHP等には患者さんの体験談がよく記載されているが、多くの場合は自作自演のやらせと推測される。ただしこれを見極めることは、実際には不可能である。
4) 美容医療の広告の適正化に向けた取組みや現状の課題について
前述したことをひとつづつ行っていくことが大切である。日本雑誌広告協会、日本新聞協会、消費者センターなどとの連携を強化し、協会にきている悪徳なクリニックや被害患者の情報をまとめ、消費者センターなどとの情報を共有して行くのが良い。違法広告に対する情報の共有(一元化)も必要である。5) 美容医療における消費者トラブル(施術の安全性、取引「勧誘・説明等」の適法性等)の防止に向けた取組みや現状の課題について
クーリングオフについては必要だが、全身麻酔を必要とする場合に前もって麻酔科医を頼んだり、人工乳房を並行輸入で仕入れたりという問題もあり、手術をキャンセルした場合に患者はこれらの補償をする必要がある。但しこれについては、事前に料金についての説明書を取り交わしてあることと妥当な金額が前提である。6) 「オンライン相談室」の運用状況についての説明
オンライン相談室や夜間電話相談等はボランティアで適正認定医にお願いしている。7) その他の問題点
「金の糸」などは全く効果についてのエビデンス(少なくとも信頼に足りる論文)がないにも関わらず、十分な説明も受けずに100本以上皮下に埋入されている患者もいる。レントゲンやCTに写るだけでなく、MRI撮影の際の安全性にも問題があるにもかかわらず、施術前にこれらの説明は全く行われていない。これについては警告文が、日本美容医療協会のHPに掲載されている。また金の糸を含んだ化粧品まで広告販売されておりリフトアップの効能を謳っているが、この状況を行政は一体どのように考えているのか。
8) 医療以外の問題点
医療のみでなく、違法なエステティックサロンなどの野放し状態をなんとかする必要がある。特に厚労省は、レーザー脱毛や光脱毛は医業であり、もしもこれを医師以外のものが行うと医師法違反であると言う判断を既に下しており、過去に京都地裁においてもエステサロンにおけるこれらの脱毛行為に対して有罪の判決を下されている。実際に医師不在のもとに看護師がレーザー脱毛を行ったために、医師が行政処分(医業停止9ヶ月)を受けた事例もある。にもかかわらず、エステティックサロンで堂々とこれらの治療が行われている現状は、行政の怠慢としか考えられない(勿論、多くのサロンでは、レーザー脱毛や光脱毛とは謳っていない)。脱毛ができると言うことは組織(毛根)破壊であるため明らかに医業であり、逆に脱毛ができなければ詐欺行為となる。ヒアルロン酸やコラーゲン、グルコサミンなどのサプリメントや化粧品についても、本当に皮膚のハリや潤いが増すという科学的根拠がないにも関わらず、広告にいかにこれらの効果があるかの如き表示をして売っている。以前、独立行政法人 国立健康・栄養研究所では調査の結果、「俗に「関節痛を和らげる」「美肌効果がある」といわれているが、経口摂取によるヒトでの有効性については信頼できるデータは見当たらない」としている。化粧品として皮膚に塗っても、これだけ大きな分子量のものが経皮吸収で真皮まで到達するとは考えられない(勿論、表皮吸収ないしは皮膚表面のコーティングによって一時的な保湿効果は期待できるが)。CoQ10を含んだ化粧品も同様に、検証する必要が有る。
発毛や育毛剤なども多く発売されているが、日本皮膚科学会が出したガイドラインでは、外用薬としてはミノキシジル以外には効果が見られないとされている。しかし未だに多くの製品が広告され、販売されている。
これらの効果効能については広告主がそれを証明し、それが妥当なものであれば許可する等の審査を厳しくしていく方が、消費者保護という見地からは現実的ではないか。
参考として、下記の資料を提出した。1と2については協会のHPに掲載してある。
- エステによる脱毛行為に対する厚労省の見解と京都地裁の判決
- 金の糸のレントゲン写真、CT写真
- 皮膚科の育毛に対するガイドライン
課題認識は共通で、法の実効性(エンフォス-メント)確保に不備がある。日本では公法と私法の分離が著しく、民事契約の効力に行政が影響力を及ぼすべきではないという発想が強くある。一方米国では、父権訴訟という制度まであり、行政が被害を受けた市民に代わって、違法行為を行った者に対して民事損害賠償請求訴訟を提起し、勝訴した場合は賠償金を分配するということまでしている。
http://www.ac.cyberhome.ne.jp/~consumer/page015.html
自由診療分野における悪徳医師の制裁制度・被害者救済法制も考えたいと思うが、まずはトラブルを防止するための広告規制が急務と感じている。
前に自由診療の不当請求問題について自分のHPで取り上げたことがあり、東京都消費者被害救済委員会で取り上げられた内容を紹介している。
http://www.ac.cyberhome.ne.jp/~consumer/page122.html
2、厚労省医政局総務課との話し合い、
とくに美容医療のHPについて:厚労省 医政局総務課
日時:平成23年11月22日 於:厚労省医政局総務課会議室
出席者:
佐々木孝治:厚労省医政局総務課 保健医療技術調整官、田中大:同専門官
西山真一郎:日本美容医療協会広告在り方委員会 委員長、谷野隆三郎 同副委員長
山口秀幸:日本雑誌広告協会
1) まず厚労省側から、今回の話し合いについて下記のような説明が行われた。
「医療情報の提供のあり方等に関する検討会」が平成18年9月〜平成20年9月まで計6回、「医療に関する広告規制や情報提供のあり方やその具体的内容等について検討」してきた。
平成22年7月30日付けで、消費者庁政策調整課長より厚生労働省医政局総務課長宛に「美容医療サービスに関する消費者トラブルの防止について」という表題で、下記について早急に対応してほしいという文書を受ける。
要望の内容は下記の通りである。
「美容医療サービスを提供する医療機関による問題のある勧誘行為、診療情報等の提供不足、不適切な広告(ホームページを含む)及び解除が困難な契約条件による消費者トラブルの防止のため、都道府県等による問題のある医療機関の監視指導等の徹底、その他美容医療を受ける者の美容医療に関する適切な選択の確保等に係る対策を早急に検討し、実施する事。」
消費者庁よりの要請もあり、「医療情報の提供のあり方等に関する検討会」を平成23年10月19日(第7回)と11月4日(第8回)に開催し、12月にも第9回の検討会を開催する予定である。平成24年5月には医療法改正があるため来年の2月頃までには法案を纏める予定である。
下記は第7回と第8回検討会の議論を踏まえ、対応案も含めて座長の指示の下事務局で整理したものである。
などが考えられるが、案3の方向に向かっている。また医療に関する広告規制の基本的な考え方としてはポジティブリストを考えている。
医療法上の広告に関する三要件、誘因性・特定性・認知性がある。この内例えば、患者を誘引する事のみを目的とした「誘因性」が著しく高いHPについては、医療法上の「広告」と見なして規制する事とする。
2)上記に対して、公益法人日本美容医療協会として美容医療等の自費診療におけるHP広告について次のような説明を行い、意見を述べた。
雑誌広告協会 山口氏のコメント
しかし、特定の医療機関やグループを紹介するサイトも多く見受けられ、紹介業を装ったクリニックへの誘因広告は問題である。
また多くの紹介業HPは、個人情報を入力するか問合せをしないと具体的なクリニック名を知ることができないため、消費者が正しい判断ができるよう改めるべきだ。
上記のような現状説明の後、厚労省主導でガイドラインを作成してもらうことを要請した。その場合は再度、意見を伺いたいとのこと。但し、法的拘束力がないガイドラインでは、以前の自主規制コードの二の舞になりかねないので、できれば罰則も含めた法的拘束力の有るものを作成してもらうように要請した。これに対して佐々木保健医療技術調整官は、一定の所で大鉈を振るう事も考えているとのことであった。
ネットで、内閣府、建議、消費者庁と美容医療などのキーワードでネットを検索すると、最近の動静が検索できます。またPIO-NET(全国消費生活情報ネットワーク・システム)でも、厚生労働省の「医療情報の提供のあり方に関する検討会」(座長:長谷川敏彦・日本医科大学医療管理学教室主任教授)等の関係情報が得られます。
ちなみに平成23年12月21日に内閣府から発せられた「エステ・美容医療サービスに関する消費者問題についての建議」(エステ・美容医療サービスに関する消費者問題についての実態調査結果と建議の概要 (PDF形式:450KB))には、“消費者委員会は、こうした調査結果を踏まえ、厚生労働大臣及び内閣府特命担当大臣(消費者)に対して、次のとおり、消費者庁及び消費者委員会設置法に基づき建議する。さらに、消費者委員会は、この建議への対応について、厚生労働大臣及び内閣府特命担当大臣(消費者)に対して、平成24年6月までにその実施状況の報告を求める”とあり、我々は内閣府からの建議に対して、6月までに厚労省から発せられる対応を注視する必要があります。
以上
付1:「エステ・美容医療サービスに関する消費者問題についての建議」の要点
1)健康被害等に関する情報の提供と的確な対応関係省庁(厚生労働省及び消費者庁)は、消費者の安全確保の観点から、以下の措置を講ずること。
2)エステ等を利用する消費者の安全確保のための措置厚生労働省は、エステ等を利用する消費者の安全確保の観点から、各施術ごとに健康への影響等を分析し、必要に応じて、各施術の技術基準等を整備するとともに、法解釈の見直し等について検討すること。また、エステ等を利用する消費者の安全確保の観点から、エステ等における施術の際の衛生管理の実態を把握し、必要に応じて、衛生管理のための指針を整備する等の措置を講ずること。
3)不適切な表示(広告)の取締りの徹底 関係省庁(厚生労働省及び消費者庁)は、取引の適正化の観点から、以下の措置を講ずること。
4)美容医療サービスを利用する消費者への説明責任の徹底?厚生労働省は、美容医療サービスに関連する相談のうち、患者(消費者)の理解と同意が十分に得られていないことに起因するトラブルが少なからずみられること等を踏まえ、取引の適正化及び消費者の安全確保の観点から、緊急性がそれ程高くない美容医療サービスを提供する場合に、患者(消費者)に必ず説明し、同意を得るべき内容等を盛り込んだ指針等を整備し、周知を図ること。
付2:厚労省、美容クリニックの施術前後写真などの
美容クリニックのウェブサイトに掲載されている、いわゆる「ビフォーアフター」写真。厚生労働省は、こうした写真のほか、「芸能プロダクション提携クリニック」や「キャンペーン今だけ○○円」などといった表現を、ウェブサイト上に掲載することを禁止する方針を決めた。
ウェブサイト掲載を禁止へ(フジテレビ1月16日配信)
プチ整形や脂肪吸引など、美容クリニックのウェブサイトに掲載される、施術前とあとの様子を写した、いわゆるビフォーアフター写真。街の人は、「なかなか写真通りにはいかないかな」、「(写真のように)なれるとは思わないけど、参考にはなるのかなと」と話した。厚生労働省は、これまで規制の対象になっていなかったウェブサイト上での記載内容について、規制する方針を決めた。
美容外科・北村クリニックのウェブサイトには、「えらが張っていて男っぽい印象でした」、「ナチュラルなフェースラインで、卵形のかわいい顔になりました」と、施術前後の比較写真が掲載されている。美容外科・北村クリニックの北村義洋院長は「これは私どもの雑誌用の広告です。雑誌に関しては数年前から、ビフォーアフターの写真に関しては、一切禁止ということになっています」と話した。
医療機関の広告は、医療法で厳しく制限されていて、雑誌広告などでは、現在、比較写真や体験談などの掲載も禁止している。厚労省は、2012年度中に、これまで対象に含まれていなかったウェブサイト上の掲載も、禁止する方針。
美容外科・北村クリニックの北村義洋院長は「これは、ごくオーソドックスにやっている、切らないでやる二重まぶた手術の術前術後。写真があった方が、わかりやすいというのは、これは確かだと思います。病院によっては、手術前のビフォーの方をなんとか貧相に撮って、術後のアフターをきらびやかに撮って、差を見せつける。そのへんを厚労省は問題にしているのであろうと」と話した。
内閣府の調査によると、クリニックを選ぶ際、3人に1人が体験談、5人に1人が施術前後の写真が決め手になったとしているが、今回、厚労省が規制に乗り出したのは、そうした宣伝に関するトラブルの増加にあった。国民生活センターに寄せられた美容クリニックの宣伝などに関する相談件数を見ると、2010年は、5年前に比べて2倍近くに増えている。
国民生活センターの清水碧里さんは「美容医療サービスについて、毎年たくさんの相談が寄せられているのですが、最近は、インターネットで『ホームページには手術代が約6万円と書いてあった病院に行ったところ、最終的に、総額約70万円の手術を承諾してしまった』と」と話した。
街の人は、こうした規制に、「見た目とかそういうのは、言葉で伝えるのは難しいから、写真は大事だと思う」、「誇大広告が本当にあるんだとしたら、なくなった方がいいと思いますけど」と話した。
多くの体験談とあわせ、施術前後の写真をウェブサイト上に掲載している大塚美容形成外科の石井秀典院長は、今後の対応について、「ビフォーアフターの写真を載せるのは、説明する意味では非常に大切だと思うが、それを超えてしまっているかなと思われるクリニックは、確かに見受けられます。野放しだったと思います。厚生労働省で認められた中で、広告活動をしていく分には問題ないと思うので、患者さんが誤認識というか、そこに至らないような広告であれば、問題ないと思いますけども」と話した。