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男性型/女性型脱毛症診療ガイドライン

2010年11月01日

◆概念

 男性型脱毛症(male pattern hair loss : MPHLまたは androgenetic alopecia : AGA)は男性ホルモンの関与と遺伝的な素因によって前頭部や頭頂部など特定の範囲の軟毛化が思春期以降におこることが特徴でNorwoodはその進行程度によりI〜VIIに分類した。
血中のテストステロンが毛乳頭細胞の5α-リダクターゼによってより活性型のジヒドロテストステロン(DHT)に代謝され、それが男性ホルモン受容体と結合し毛母細胞に抑制的に作用するのがその機序とされる。
女性型脱毛症(female pattern hair loss : FPHL)とは女性のAGA(FAGA)の3タイプ(男性型と類似するHamilton型、前頭部正中部分のびまん性脱毛が特徴のOlsen型またはクリスマスツリー型、頭頂部のびまん性脱毛が特徴であるLudwig型)と種々の休止期脱毛症や加齢変化の総称で、MPHLより広い概念である。
ちなみにFAGAの機序は不明であるが、男性のそれとは異なっており一般的に血中DHTの上昇は認められない。

◆治療方針

・薬物治療
 MPHLでは5%ミノキシジルの外用とフィナステリド1ml/日の内服の併用が標準的用法である。
また有効性のエビデンスはないがケトコナゾールのシャンプーも推奨される。
FPHLでは2%ミノキシジル外用が標準的用法とあるが、男性用の5%も処方される。
その他スピロノラクトンやフルタミドなどの抗男性ホルモン剤も検討されるが、基本的にフィナステリドやデュタステリドの服用は避けるべきである。

・外科治療
MPHLに対しては従来縫縮術や皮弁法も行われたが、現在ではほとんど植毛術で対応されるようになっており、follicular unit transplantation (FUT)がその標準術式である。
Choi式植毛針を用いる単一植毛法もこの変法である。
原則として薬物治療を10〜12ヶ月間行い改善が見られない場合に施術を考慮するが、高齢患者やNorwood I〜VIIなどの進行症例では初めから行っても良い。この場合、移植毛の太さなど採毛部の条件が結果を左右すること、採取できる移植毛の総数には限界があること、禿髪の進行が植毛の効果を相殺するので薬物治療の併用が望ましいことなどを十分説明する必要がある。
FPHLの治療の主体はあくまで薬物治療である。
薬物治療を10〜12ヶ月間行い改善が見られない場合にFAGAの3タイプについてのみ植毛を考慮しても良い。その場合の注意点はMPHLのそれと同様であるが、男性と比較して結果への期待度がより高く、また施術による既存毛の脱毛のリスクがより大きいなどに留意する。



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